【本格】塩押したくあんの作り方

本記事では、ご家庭でもできる本格的な塩押したくあんの作り方を紹介します。
今回ご紹介するのは、たくあんの中でも塩押したくあんと呼ばれるたくあんの作り方です。

最初に塩押したくあんの簡単な知識を紹介し、本題で作り方をご紹介します。

最初に:塩押したくあんは、干し大根を使わないたくあん

塩押したくあんは、大根を干さずに作るたくあんです。

塩押したくあんは、地域によって「生漬たくあん」、「ドブ漬たくあん」という呼び方があります。

干し大根を使うたくあんとは

たくあんは、2種類あります。
1つは、収穫した大根を干して大根の水分を調整したあと、ぬか漬けにするたくあん。
もう1つは、収穫した大根を塩漬けにして大根の水分を調整したあと、ぬか漬けにするたくあん。

干し大根を使うたくあんは、歯ごたえが良いのが特徴です。
伝統的なたくあんは、干し大根を使うたくあんです。

塩押しとは塩で水分を押し出す

収穫して塩漬けにして大根の水分を調整したあと、ぬか漬けにするたくあんが塩押したくあんです。

大根は塩漬けにすることで、塩の浸透圧によって脱水します。

塩漬けにした大根は、干し大根と比べると水分は出ませんが、歩留まりが良く、比較的柔らかい歯ごたえになります。

また、一般的に塩漬けにした大根を塩押し大根と呼びます。
塩で水分を押し出すため、この名前が定着しています。

塩押したくあんの別名

塩押したくあんは、地域によってさまざまな呼び方をします。

生漬たくあん

収穫した生の大根(通称:生大根)を干さずにそのまま漬けるため生漬と呼びます。

九州地方で呼ぶことが多いです。

ドブ漬たくあん

関西地方、中部地方で呼ぶことが多いです。

本題:塩押したくあんの作り方

これから、ご家庭でもできる塩押したくあんの作り方をご紹介します。

準備

用意する道具

四斗樽

インターネットで購入可能です。

大根がまっすぐ入る大きさのタルで代用可能です。

中フタ

インターネットで購入可能です。

タルの大きさに合う中フタを選びましょう。

重石

インターネットやホームセンターで購入可能です。

大根の重量の3倍の重量になるように組み合わせましょう。
重石は1つではなく、複数個の組み合わせで用意しましょう。

重量計測用のはかり

インターネットやホームセンターで購入可能です。

用途は主に2つです。
・大根の重量(1kg前後)を計測する。
・塩や米ぬかなどの調味料の重量(グラム単位)を計測する。

包丁

ご家庭用の包丁で可能です。
インターネットやホームセンターで購入可能です。

用途は、大根を切るためです。

道具必要数
四斗樽1つ
中フタ1つ
重石複数個
重量計測用のはかり1つ
包丁1つ
【一覧】用意する道具

用意する材料

大根

白首大根を準備しましょう。

四斗樽を使用する場合は、1本1kgの大根を40本〜45本必要です。
(重しをかけるため、少量だと不可能になります。)

塩は「一押し」用と、「二押し」用と、「三押し」用の3回準備する必要があります。
ここでは目安の量を記載しています。
(大根の重量の減り具合に合わせて塩の量を調整します。)

一押し用

葉を切り落とした大根の重量に対して10%の塩を準備しましょう。

例えば、大根の重量が40kgの場合は、塩が4kg必要になります。

二押し用

一押しが終わった大根の重量に対して2%の塩を準備しましょう。

例えば、大根の重量が30kgの場合は、塩が600g必要になります。

三押し用

三押しでは、保存期間に合わせて、塩の量を調整します。

今回は、保存期間が2ヶ月の場合を想定しています。
二押しが終わった大根の重量に対して3%の塩を準備しましょう。

例えば、大根の重量が25kgの場合は、塩が750g必要になります。

米ぬか

三押しのときに使用します。

三押しで使用する塩に対して20%の米ぬかを準備しましょう。

例えば、使用する塩が750gの場合は、米ぬかが150g必要になります。

材料必要数
大根1kgの大根を最低40〜45本
塩(一押し用)葉を切り落とした大根の重量の10%
塩(二押し用)一押し後の大根の重量の2%
塩(三押し用)二押し後の大根の重量と保存期間に合わせる
米ぬか塩(三押し用)の重量の20%
【一覧】用意する材料

作業

作業の流れは、以下の流れです。

  1. 大根の下準備
  2. 一押し
  3. 二押し
  4. 三押し
  5. 加工の流れ

大根の葉を切り落とす

大根の葉を包丁で切り落とします。

大根の頭の葉の付け根部分で切り落としましょう。

大根の土を洗い流す

大根についている土を水で洗い流します。

桶に水をためて、土をふやかしながら行うと効率的です。

大根の重量の計測

はかりを使って大根の重量を計測します。

一押し

漬け込みは全部で3回行います。
1回目の漬け込みを「一押し(いちおし)」と呼びます。

呼び水を注水

四斗樽に3cmほど呼び水を注水します。

大根を並べる

樽に隙間ができないように大根を敷き詰めます。

大根の向きが交互になるように、向きを変えて並べましょう。

2段をめどに、塩を振りかけます。
塩をかけたら、水を少量ずつかけて、下に落ちていかないようにします。

大根が大きくて隙間ができる場合は、大根を3等分して隙間を埋めましょう。

四斗樽の下部は少なく、上部に行くほど塩が多くなるようにしましょう。

中フタをする

樽の上部が平面になるように並べます。

平面になった大根の上に、中フタが平行になるように置きます。

重石を乗せる

中フタの上に重石を乗せます。

重石の重量は、一押し後に計測した大根の重量の3倍の重量のものにします。

例えば、大根の重量が40kgの場合は、120kgの重石を乗せてください。

1日〜2日待つ

1日〜2日重石を乗せたままにします。
環境は、直射日光の当たらない気温が20度以下の場所が好ましいです。

2日後の様子

大根の水分が溢れてきます。
様子を見て、重石が倒れてこないように調整しましょう。

例えば:

1日〜2日待つとは、水曜日の夕方に一押しを始めて、金曜日の夕方〜土曜の朝に二押しを始める日程です。

二押し

2回目の漬け込みを「二押し(におし)」と呼びます。

大根の重量の計測

一押しで水分が抜けた後の大根の重量を計測します。

一押し前と比べると、70%前後の重量になっていると重しがよく効いている証拠です。

塩の準備

計測した大根の重量の2%の塩を準備します。

例えば、一押し後の大根が30kgの場合は、600gの塩を準備します。

大根を並べる

基本的には、一押しの時と同じやり方です。
大根の水分が抜けて柔らかいので、並べやすくなります。

樽に隙間ができないように大根を並べます。

大根の向きが交互になるように、向きを変えて並べましょう。
2段をめどに、塩を振りかけます。
塩をかけたら、水を少量ずつかけて、下に落ちていかないようにします。

四斗樽の下部は少なく、上部に行くほど塩が多くなるようにしましょう。

中フタをする

樽の上部が平面になるように並べます。

平面になった大根の上に、中フタが平行になるように置きます。

重石を乗せる

中フタの上に重石を乗せます。

重石の重量は、一押し後に計測した大根の重量と同じ重量のものにします。

例えば、大根の重量が30kgの場合は、30kgの重石を乗せてください。

1週間待つ

1週間~10日間、重石を乗せたままにします。
環境は、直射日光の当たらない気温が20度以下の場所が好ましいです。

三押し

3回目の漬け込みを「三押し(さんおし)」と呼びます。

大根の重量の計測

三押しで水分が抜けた後の大根の重量を計測します。

二押し前と比べると、85%前後の重量になっていると重しがよく効いている証拠です。

塩と米ぬかの準備

漬け込み期間に合わせて、必要な塩を準備します。
(漬け込み期間を長くしたい場合は、塩度を高くしましょう。)

今回は、計測した大根の重量の4%の塩を準備します。
(漬け込み期間を3ヶ月と想定しています。)

そして米ぬかを、使用する塩の20%分準備します。
準備した塩と米ぬかを混ぜましょう。

例えば、二押し後の大根が27kgの場合は、1,080gの塩と216gの米ぬかを準備します。

大根を並べる

一押し、二押しと同じように並べていきます。

樽に隙間ができないように大根を並べます。

1段ずつ、塩と米ぬかを振りかけます。

大根の向きが交互になるように、向きを変えて並べましょう。

四斗樽の下部は少なく、上部に行くほど塩と米ぬかが多くなるようにしましょう。

中フタをする

平面になった大根の上に、中フタが平行になるように置きます。

重石を乗せる

中フタの上に重石を乗せます。

重石の重量は、二押し後に計測した大根の重量と同じ重量のものにします。

例えば、大根の重量が30kgの場合は、30kgの重石を乗せてください。
(調整が難しい場合は、「軽いより重い」ようにしてください。)

漬け込み期間を待つ

決めた塩度に合わせた期間待ちましょう。